電子書籍市場16年度に2,000億円規模へ
インターネットメディア総合研究所は、電子書籍の動向を調査し、電子書籍に関する市場規模の推計結果を発表した。
2011年度の電子書籍市場規模は629億円と推計され、2010年度の650億円と比較し、-3.2%と微減となっている。新たなプラットフォーム向け電子書籍市場は対前年比363%増の112億円へと急速に拡大しているが、フィーチャーフォンからスマートフォンへのデジタルコンテンツのシフトがスムースに進んでいないことから、ケータイ向け電子書籍市場の落ち込みを補完できていないという結果となった。
ケータイ向け電子書籍市場は、480億円と市場の76%を占めており、依然として市場の中心を担っているが、フィーチャーフォンユーザーの減少に加え、広告出稿の減少等の影響を強く受け、前年度比84%と大幅な減少となっている。PC向け電子書籍市場は、大手販売ストアで、スマートフォンやタブレット端末で閲覧が可能なマルチデバイス化が図られ、新たなプラットフォーム向け市場へとシフトしており、狭義のPC向け市場も大幅な減少となっている。
新たなプラットフォーム向け電子書籍市場は112億円と推計され、スマートフォンユーザーやタブレット端末ユーザーの増加に伴う拡大や、PC向け市場のマルチデバイス化等を受け、昨年度24億円から363%増の112億円へと急成長している。
しかしながら、コミックのコマ見せを中心としたケータイ向け電子書籍市場の受け皿の整備の遅れや、予想されていた海外事業者の参入が遅れ電子ブックリーダーが普及していないこと、コンテンツの充実が予定通りに進んでいないこと等の影響を受け、ケータイ向け市場の落ち込みを上回る増加には至っていない。また、電子雑誌市場は、タブレット端末利用者の増加や定期購読による配信雑誌数の増加により、前年度比267%増の22億円となっている。
2012年度以降の日本の電子書籍市場は、ケータイ向け電子書籍市場の減少傾向は続くものの、新たなプラットフォーム向け電子書籍市場の急速な立ち上がりにより、2016年度には2011年度の約3.6倍の2,000億円程度になると予測している。